親と日本で同居するためには(老親扶養)

外国人の親が子の扶養を受けて在留することはできるのでしょうか。

 

原則、同居することはできません。入管法にこのようなケースを認めるビザ(在留資格)がないからです。

 

しかし、次のような場合には父又は母との同居を必要とする特別な事情があるということで、例外的に認められることがあります。
えば、父又は母が高齢で病弱であり、かつ、他に父母を扶養したり身辺を世話する適当な兄弟姉妹がいないというようなケースです。(このことを「老親扶養」といいます。)

要件について公表はないですが、おおむね次の4つが目安と推定されます。

 

1)高齢であること

 →おおむね70歳以上(目安)であること(子の扶養を受ける必要性が強い)

 →介護を要する病気を患っていること  (       〃      )

 

2)本国に親の面倒をみる者がいないこと

  ・本国に、介護能力のある健康な配偶者(夫婦の一方)または実子がいないこと

  →本国の親の一方がすでに死亡している又は離婚しているなど、現状として

   両親なく片親であること

 

  ・本国に、介護能力のある健康な親の兄弟姉妹がいないこと

  →本国に、健在な親の兄弟姉妹がいると許可率の低下が予想されます。

 

 ※親の経済的な困窮は、日本にいる子が海外送金等で経済援助をすれば足りるので、呼び寄せるための強い理由にはならない

  ことが予想されます

 

3)ご両親が日本での就労を予定していないこと

   →孫の面倒をみることなどは該当しません

 

4)招へい人(日本に在留する子など)が適切な扶養者であること

      →日本で扶養しなければならない理由がある

   →招へい人が扶養者として相応しいと言えるだけの経済力がある

  →招へい人が納税義務を果たしている

   →招へい人または同居の家族に親を面倒みる時間がある

  例)招へい人夫婦が共働きあるいは海外出張など、実は家にいないことが多い家庭である場合は、扶養能力が低いと評価

   される恐れがあります

   ※招へい人が、既に帰化した日本人であることや永住者であることまでは求められていません

 

また、要件を満たす場合であっても、老親扶養の場合は特定活動ビザの告示外(国が予定するビザの枠組みの外)に当たることから、認定申請で海外から直接呼び寄せる手続きは出来ません。

現実的な手続きとしては、短期ビザ(親族訪問)で来日し、ビザの変更(短期ビザ→特定活動ビザ/老親扶養をすることだと考えられます。

なお、ご参考までに、高度外国人材と認定された場合には、その優遇処置の一つとして2つのケースで一定の条件の下、親の帯同が許容されていることも紹介しておきます。

 

 <ケース>

①高度外国人材又はその配偶者の7歳未満の子(養子を含みます。)を養育する場合

②高度外国人材の妊娠中の配偶者又は妊娠中の高度外国人材本人の介助等を行う場合

 

<主な要件>

①高度外国人材の世帯年収が800万円以上であること

 ※高度外国人材本人とその配偶者の年収を合算したものをいう

②高度外国人材と同居すること

③高度外国人材又はその配偶者のどちらかの親に限ること

 

【高度人材とは】
活動内容を「高度学術研究活動」、「高度専門・技術活動」、「高度経営・管理活動」の3つに分類し、「学歴」、「職歴」、「年収」などの項目毎ポイントを設け、ポイントの合計が一定点数(70点)に達した外国人を「高度人材」(多くは高度専門職ビザ)と認定し、入国、在留にあたってさまざまの優遇処置をとるものです。

 

詳しくは「高度人材ポイント制による出入国管理上の優遇制度」をご確認ください。