外国人を雇用する場合、日本人を雇用するのとは異なり在留資格(ビザ)が必要となります。在留資格は全部で27種類ありますが、最もポピュラーな在留資格は「技術・人文知識・国際業務」です。外国人をこれまで多く採用した実績のある企業であれば、出入国管理及び難民認定法(以下、「入管法」という。)に係る知識や経験も多いので、諸々のポイントは理解されていると思われます。
ここでは初めて外国人を雇用する企業担当者を対象に概要をご説明いたします。
外国人といっても、現在日本に在留している方例えば卒業見込みの留学生を採用するのか、あるいは現在海外に住んでいる方をこれから日本に呼び寄せて雇用するのかによって申請手続きが異なってきます。前者は一般的に「在留資格変更許可申請」であり、後者は「在留資格認定証明書交付申請」という手続きをとることになります。
在留資格(以下、「ビザ」という。)に係る行政の許認可は、それぞれの人物の素性、能力、在留履歴など個々の事案を審査することになり、(ほぼ)「100%許可が下りる」などと断定的な結果を論じることはできない性質の手続きとなります。
したがって、企業担当者にあっては、やっと申請を終えたけれど、後日入国管理局から多種多様な追加資料を求められ、挙句の果てには不許可・不交付の結果を受け、「そんなに厳しいとは思わなかった」「何で不許可なのかよく分からない」など、面食らってしまうこともしばしばあるようです。
入管法は法律ではありますが、法律の下に施行規則・基準省令等があり、これとは別に通達や審査要領、判例や他の法令が関わってきます。
たとえば、企業で雇用しようとする外国人が大卒か専門学校卒か、雇用先の就労の内容はいわゆる単純労働にあたらないかなど、規範に照らして入国管理局(職員たる審査官)が審査していきます。
ここで審査に係る規範(基準)を事細かに述べることは割愛しますが、一般的に審査は雇用する企業の事業規模が大きいほど緩やかな傾向にあります。これは、企業のコンプライアンスに取り組む体制の整備など信用度が高いことや国や地方公共団体への貢献度(納税額が大きい)つまりは国民への貢献度が高いことによるものと推察されます。
審査は先に述べた項目以外にも事細かにチェックされ、かつ、雇用される外国人一人ひとり個別具体的な審査となります。したがって、許可を確実に勝ち取るため、企業担当者にあっては、外国人申請人と共同して必要な書類を漏れなく収集し、慎重かつ丁寧に雇用の理由を書面で述べていく必要があります 。
なお、何らかの理由で一度不許可・不交付の処分を受けますと、入管の審査はより慎重なものになるのが実情です。