外国人を雇用するに際して、企業担当者は必ず在留カードを確認する必要があります。在留カードを確認することなく、就労に関して外国人に違法な事態が生じた場合、合わせて企業にも責任の生じる恐れがあります。
在留カードを確認することで、在留資格(ビザ)の種類、在留期間の満了日、(資格外活動の許可の有無)を知ることが出来ます。これらを知ることで、企業が外国人に任せようとする仕事の内容が、ビザの範囲にあるのかあるいは全く異なるのかについて、大よその察しを付けることができます。
(全く異なる例としては、「技術・人文知識・国際業務」の付与された外国人を料理人として採用する場合などがこれに当たります。この場合、「技能」という別の就労ビザが必要です。)
また、当然ながら、在留期間の満了日を超えた外国人を就労させることはできません。
入管法の不法就労に該当される代表的なケースとしては、次のものがあります。
ア.ビザ(在留カード)を所持して在留する外国人が資格外活動の許可を得ることなく就労すること。
⇒与えられたビザとは異なった内容で就労をするケース
イ.不法入国者・不法残留者が就労すること。
⇒そもそも在留カードを所持していない。又は在留期限の満了日を超えている。
(適法に在留していない外国人はそもそも在留カードを与えられていません。)
企業が、在留カードを確認することなく、外国人の不法就労に加担した場合、入管法違反により逮捕・起訴されるリスクがあります。
罪名は不法就労助長罪であり、量刑は3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金または併科となります。【入管法73条の2】
また、刑罰は行為者ほか法人又は人に対しても課せられます。【入管法76条の2】
この規定は、単に「知らなかった」ということを理由として、刑を免れることは出来ません。【入管法73条の2第2項】
このことから、企業は必ず、採用時(有期労働契約の更新を含む)に在留カードを確認する必要があります。
念には念を入れたいという採用担当者様は、こちらをご活用ください。
雇用予定の外国人から提示された在留カードが偽造されたものではないか、完ぺきではありませんが、一応確認することができます。
法務省入国管理局の用意する「在留カード等番号失効情報照」のウェブサイトです。(メンテナンス中は使用できません)
なお、採用後に関する注意点も2つ述べておきます。
①就労ビザで外国人を雇用した企業は、法務大臣に対して、外国人の受入れの開始及び終了その他の受入れの状況に関する事項の届出について、「その状況に至った日から14日以内に」届出する努力義務が課せられています。【入管法19条の17】
⇒「できるだけ、がんばろう」の規定
②就労ビザが付与された外国人について、その雇入れ又は離職の際には、氏名、在留資格や在留期間等について厚生労働大臣(ハローワーク)への届出が義務付けられています。【雇用対策法28条】
⇒「しなければ、ならない」のルール
届出を怠りまたは虚偽の届出を行った場合には、30万円以下の罰金の対象となります。【雇用対策法38条】
以上のように、外国人の雇用(入社)・有期労働契約の更新並びに退職に際しては、企業のコンプライアンスに十分ご注意ください。